極地彷徨―北インド古典音楽 & 菌類―

《 Live Information 》  ●2017/11/19 (sun) at 町田

Ustad Sabri khan saheb


インド滞在を終え、無事に日本に戻りました。
帰国前2週間ほどはとてもばたばたしており、なかなか更新できてないですが、取材の成果も思った以上のものになりました。
それはまた報告するとして、今回の滞在の最後に、師匠の師匠である伝説的サーランギ奏者、Ustad Sabri Khan sahebのお自宅へ連れて行ってもらいました。
ついに!です。

Ustad Sabri Khan saheb 01


現在85歳を超えられており、演奏はほとんどされないようですが、とても元気にされてます。
それにしても写真では何度も見ていたけど、何歳になられてもかっこいい。
本当にハンサムな方だと思います。
優しく僕を迎えてくれました。

訪ねるとすぐにサーランギを弾けとのことになり、家族らの見ている中、サーランギを披露させていただきました。
かなり緊張しましたが、畏れ多くも勿体ないくらいのお褒めの言葉をいただき、とても嬉しかった。
でも一点、

「運指、変えたのか?」

と訊かれドキッとしました。
実は長く師匠を離れ独学で学んでいた最中、運指を変えていたのです。
他の流派の奏者の運指を見てきたということもありました。
これは師匠にもしょっちゅう注意されていて、なかなか直せるものでもないなと思っていた矢先でした。

「はい、日本にいる間、運指を変えてしまいました。」

「そうか。でも各音がちゃんとぶれずに出せてるからノープロブレムだよ。」

…えっ!
これはちょっと意外なお言葉でした。
サーランギは、というかインド音楽自体、決まった様式にとらわれ過ぎる必要のない音楽なのだな、と改めて痛感した思いです。
あるいはSabri Khan sahebご自身が、自分の流儀を押し付けることのない寛容さを持ち合わせているということなのかもしれません。

取材や演奏活動など、かなりの充実したサーランギの活動ができた今回の滞在の最後に、Sabri Khan sahebにお会いすることができたというのは感慨深いものがありました。
これからもお元気に、長生きしていただきたいです。

最後に70年代のSabri Khan sahebの映像を以下に貼っておきます。




  1. 2013/12/27(金) 00:44:11|
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サーランギ取材報告 その4

Asif Ali Khan 01

だいぶ更新サボってますが、取材は割と順調に進んでいます。
一部報告します。

上の写真はAsif Ali Khan。
キラナ・ガラナのサーランギ奏者で、今回の取材した奏者の中でも最年長の奏者。
フランスのレーベルよりタブラなしの独奏のみを収録したCDが出ています。
同じキラナ・ガラナのHafizullah Khanとはかなり異なる味わいの演奏をされます。
もちろん今回はタブラありの収録です。
タブラはMurad Aliの兄弟に当たるAmaan Aliにお願いしました。


Ahsan Ali Khan 01

Asif氏のご子息Ahsan Ali。
彼は4,5年前、代々木で毎年開かれるナマステインディア・フェスティバルにインドからのミュージシャンの一人として招致されて来ていたことがあり、たまたま自分も舞踊の伴奏で出演しておりその時に少し話をしたことがあります。
その時のことも覚えていてくれました。
狭い世界とはいえ、こうした縁がまた繋がるのは嬉しい。

しかし今回親子揃っての取材が多く実現しています。
古典音楽の奏者はほとんどが音楽家の家系に生まれ、代々技を引き継いでいるわけですが、先代との個性の違いや共通点が垣間見えるし、親子のジャガルバンディ(同時に演奏)ではさすがに息の合った演奏を見せてくれることが多い。
なかなか貴重なものを見せていただいてると思います。


Ghanshyam sisodia 01

グワリオール・ガラナに属し音楽家家系の9代目というGhanshyam Sisodia。
タブラは兄弟のMadan Lal Sisodia。
考えてみると、今のところ唯一のヒンドゥー教徒ですね。
カタックの伴奏でコンサートに出演されていて、その時の演奏に惹かれ取材をお願いしました。
師匠が属するモラダバード・ガラナの奏者とはかなり違った味わいの演奏を聴かせてくれます。

  1. 2013/12/14(土) 15:13:09|
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リシケシュ

rishkesh01.jpg


無事リシケシュよりデリーに戻りました。
リシケシュはガンガーのほとりに広がる一般的にはヨガの聖地として知られているところ。
今回は非常によい縁があって、予定していた2回のコンサート以外に、さらに2度の出演機会に恵まれました。
ちょうどヨガフェスティバルの最中で、連日コンサートが開かれており、そこにお呼びいただいた形です。
結果、サーランギソロ、ジャガルバンディ、カタック伴奏、ボーカル伴奏、パカワジソロの伴奏、とサーランギでやるべきことは全てやらせていただいた感じです。

rishkesh03.jpg


ソロは2回演奏。
そのうち1回は急遽パカワジ+タブラの2ドラムスとなり、初めてのことで緊張しましたが、観客や現地の音楽家たちからお褒めの言葉をいただき嬉しかった。
写真は今回一緒に回ったHarsh Wardhan氏のもとでバンスリを学ぶベラルーシ人のIgor。

カタックやパカワジソロではラヘラ(ナグマ)の難しさを改めて感じました。
そんななか、偶然にもタブラソロの伴奏としてコルカタより招致されていたサーランギ奏者Ram Lal Mishra氏の圧倒的なラヘラ演奏を目の当たりにし、ラヘラを磨く個別の練習も必要だと痛感しました。精進します。

お誘いいただいたカタックダンサーのChandra Mukta Saraswatiさんをはじめ、共演させていただいた方々、お世話になった方々、皆に感謝です。ありがとうございました。


rishkesh02.jpg
  1. 2013/11/18(月) 16:25:24|
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第3回サーランギ取材報告

ghulam sabir khan, murad ali, abdul rahman

先日の取材は今回のインド滞在の中でも最も大きなイベントと言ってよいかもしれません。
その相手は、Ustad Ghulam Sabir Khan saheb(中央)。
そして、そのご子息に当たるのが、なんと前回の記事で紹介したMurad Ali(右)。
親子揃っての取材が実現しました。
タブラは前々回もお願いしたAbdul Rahmanです。



ghulam sabir khan

現在のデリーで活躍するサーランギ奏者の多くがモラダバード・ガラナ(流派)に属しますが、Ghulam Sabir Khanは、あのUstad Sabri Khan sahebに次ぐ、モラダバード・ガラナの大御所といっていい存在。
僕の師匠のMohd. Nasir Khanをはじめ、現在活躍するのモラダバード・ガラナの多くの奏者が彼の指導を受けています。
話してみると実に嫌みのないフランクな方で、慕われているのもわかります。



昔のソロ演奏の貴重な動画。
Ghulam jiは、現在ではそれほど多くのコンサートには出演しておらず、ましてやソロを聴く機会は滅多にありません。感激です。
ちなみに、現在ならまだしも一昔前までは、よほど高名なサーランギ奏者でさえ、ソロのCD(当時はLP)を発売するということはまずありませんでした。
サーランギに関してはソロ音源を発表できるのはRam Narayan jiなどのごく一部の奏者だけ。
よってデリーのサーランギ奏者の源流の一つともいえる演奏家のソロ演奏を録音できたことは大変意義深いものだと感じています。



murad ali

そしてそのご子息、Murad Aliはインド国内のみならず、海外のレーベルからもCDを出しており、国際的に活躍する若手サーランギ奏者として注目の人。



そもそも今回の取材は知られていないサーランギ奏者、つまりCDなどが一般的に手に入らない奏者を取材するのが目的の一つなわけで、彼の場合それには当てはまらないわけですが、彼のサーランギには昔から非常に惹かれていたため取材を申し込みました。
贅沢を聞いてもらい、まだCDに吹き込んでいないラーガを弾いていただくことも叶いました。

以下、Murad Aliのofficial websiteです。
http://www.sarangisitar.com/muradali/index.html

また、ソロのほかに親子揃っての合奏で弾いてもらったThumriは、取材のことなど忘れてしまうほど素晴らしい演奏だった。
本当に夢のような一日でした。



さて、今回の取材の成果をどのように形に残すかも考え始めています。
どなたかよい案があればぜひご助言ください。

  1. 2013/10/31(木) 23:10:36|
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サーランギ取材 再び!

kamal ahmed, amir khan, arshad khan

やっと第二回目のサーランギ奏者取材を行いました。
今回はUstad Kamal Ahmed(中央)と、そのご子息Amir Khan(右)。

Kamal Ahmed jiはデリーのボーカルやカタックの大舞台でたびたびお呼びのかかる奏者で、5年前から憧れていた奏者です。
今回のデリー滞在も足繁くコンサートに通ってますが、毎回舞台上での演奏を見ている方なので、間近にその演奏を見ることができるというのは感無量です。
各ソロ演奏に加え、親子揃っての演奏も披露していただき、素晴らしい取材になりました。

タブラはなんとあのAhmed Jan Thirakwaの孫に当たるArshad Khan。
若いですが、腕前は圧巻です。

前回はタンプーラマシンを使ったのですが、今回は知り合いの楽器屋でタンプーラを借りてきて、しっかり生音で録音しました。
ちなみに自分が弾いたのですが、実際に伴奏に参加するのは初めてで、正しい運指なども教えてもらい非常によい経験になりました。

さて、取材後は録音の編集作業に入るわけですが、いかんせん経験が少なく苦戦してます。
しかし演奏者にヘッドフォンで録ったばかりの録音を聴いてもらうと、音質に驚いてくれ、さらに違うラーガを演奏してくれることもあり、こちらとしてもやる気が出ます。
録音、マスタリングを含めて、プロの演奏に見合ったものを成果に残したいものです。

また報告します。

  1. 2013/10/15(火) 03:47:19|
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