極地彷徨―北インド古典音楽 & 菌類―

《 Sarangi Live Info 》
2017/5/5 (fri) at 三軒茶屋   ●2017/5/20 (sat) at 浜松   ●2017/5/21 (sun) at 愛知県   ●2017/6/3 (sat) at 町田

サーランギの弦の押さえ方と指の負担について

sarangi finger 02

上の写真のようにサーランギはギターやバイオリンのように弦を上から指先で押さえるのではなく、爪の甘皮(付け根)を横から弦に押し当てるような形をとります。
この押さえ方は爪に負担を与えるため、プロの演奏者の爪は独特の跡がついていることが多いです(下の写真参照)。
このことは、サーランギが演奏するのに非常に苦痛を伴う楽器であるという印象を与え、演奏者が減っているということの一因としてもよく挙げられています。

しかし実際のところ、痛いのはギターと同じ、習い始めだけ、です。
慣れてしまえば演奏に痛みは伴いません。

習い始めは弦を押さえる力の具合がわからないので、無駄に指に負担をかけてしまいがち。
この時点ではそれなりに痛みを感じることが多いのは確かです。
しかし、ある程度演奏に慣れてくると、無理な力をかけなくてもほんの少し触れるだけで音が変化するということが実感として掴めてきます。
その頃にはギターだこと同じように、爪の付け根の甘皮部分が固くなってきます。
ここまでいくと、もうほとんど痛みを感じることはありません。


sarangi finger 01

写真は師匠の指。
弦は爪と甘皮の両方に触れるため、爪に傷跡がつき、甘皮部分は皮膚が弱冠盛り上がって固くなっています。
サーランギ演奏者は、演奏量が多いと爪や甘皮が変形することは事実です。
しかしこうした跡がつくからといって、演奏中に痛みを感じているわけではありません。

***

最近の自分は昔と比べると、猛練習を続けても爪の凹みがあまりつかない日が続いていました。
これはなぜかというと、ここ数年は繊細な音を目指し、かなり細い弦を使っていたことが一番の要因。
また、指への負担が大きいガマクなどの奏法をあまり使わなかったことでしょうか。

指への負担は弦の種類や奏法によっても変るということです。
実際に熟練の演奏家でも、あまり指に押さえた痕跡のない人も多くいます。
指への負担を不安に思う方は、習い始めだけでも、細く滑らかな弦を使うのも手かもしれません。

私の師匠はサブリ・カーンの弟子であるだけに、太めの弦を好み、繊細でいて力強さを持ち合わせた演奏をします。
その性格が爪によく表れていると言えるでしょう。
日本で理想の音を追い求めていたばかりの自分には、久しく忘れていたこの音の存在感に衝撃を受け、今は習い始めのころに戻って弦も太めのものに戻し、奏法も師匠のスタイルを必死で学んでいます。

***

なお、弦の押さえ方で一つ書き忘れましたが、爪を一切弦に当てず、爪と第一関節の間の皮膚の部分だけを使う演奏家もいます。

sarangi finger 03

これは比較的新しいスタイルで、当然爪は一切変形しません。(弦の当たる皮膚の部分は跡がつきますが)
伝統的には甘皮部分を使うスタイルが使われてきましたが、現在ではどちらが正しいということはありません。
どちらのスタイルにも名演奏家がおり、新しいスタイルもすでに定番の一つになっています。
写真のように、生まれつき爪が小さい人は、必然このスタイルを選ぶことも多いようです。


sarangi finger 04
  1. 2013/11/30(土) 18:30:43|
  2. サーランギ、インド音楽|
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